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宮崎監督が「もののけ姫」で米良さんを選んだ意味

――木村さんは『風の谷のナウシカ』から宮崎監督の作品を見続けているファンでもあり、「いつも何度でも」では作品に関わったアーティストでもあります。ふたつの視点から、ジブリ映画や宮崎監督作品における音楽の力や位置づけをどう感じていますか?

木村 『耳をすませば』(1995年)の主題歌「カントリー・ロード」に、まだ16歳だった本名陽子さんを起用されたことには私もとても共感できますし、『紅の豚』(1992年)で加藤登紀子さんが歌われた「時には昔の話を」も、作品の世界観を際立たせていたと思います。

 宮崎さんが曲やアーティストを選ばれているという意味で、音楽も宮崎さんの作品の一部になっていると思うんです。

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 時にジブリのスタッフの方々は、「宮崎さんはそれほど音楽には詳しくないので」と仰ることがありますけど、「もののけ姫」で米良(美一)さんを選ばれた時も、目には見えないバイブレーションのようなものを、ちゃんと感じ分けていらっしゃる方だなというふうに思いました。

『もののけ姫』より

――たしかに音楽も作品世界にしっかりと内包されていて、後から取って付けた感は皆無ですよね。

木村 もちろん、久石さんの存在も欠かせないです。久石さんが思う宮崎さんの世界観を表現しようと誠実に努力をされているし、それを私は間近で少し拝見することができました。本当に毎回素晴らしい仕事をされていて、とても尊敬しています。

 

――木村さんにとって「いつも何度でも」はどういう存在なのでしょう。

木村 この曲のおかげで、いろんな機会、出会いをいただきましたし、何かいつも私を守ってくれている、有り難いお守りみたい感じですね。

写真=末永裕樹/文藝春秋