「文藝春秋」2月号よりノンフィクション作家の石井妙子氏による「『愛子天皇への道』皇室の危機を考える」を一部公開します。(全2回の1回目/後編に続く)
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皇室に存在する男女の格差
令和3年は、眞子さんの結婚があり、愛子さまが成年となられ、いつになく女性皇族の存在が注目された。またこうした出来事を通じて皇位継承への興味が一般国民の間に、強く芽生えた1年でもあった。
とくに眞子さんの結婚は、すでにそこにあった問題や矛盾を顕在化させたように思える。女性皇族と男性皇族の間にある格差、皇族の人権、皇統の維持、といった事々を。
長姉の眞子さんに皇位継承権はなかった。だが、弟の悠仁さまは皇位継承順位第2位の立場にある。天皇の長女である愛子さまにも皇位継承権はなく、ご結婚されれば民間人になられる。皇室に歴然として存在する男女の格差。しかし、国民の間では、この数年で、「女性が天皇になってもいいのではないか」「女性天皇が結婚し、そのお子さまが天皇(女系天皇)になってもいいのではないか」という意見が圧倒的に多くなっている(NHKが2019年に行った世論調査では7割以上)。
ところが、こうした国民の声は国会には反映されてはいない。長きにわたった安倍晋三政権は男系男子主義の立場であり、女性天皇・女系天皇を否定、女性宮家の設立にも反対していたため、まったくこの問題に取り組まなかったからだ。
この流れを汲んで先の総裁選でも、岸田文雄総理と高市早苗政調会長は揃って、「男系男子で継承すべき。皇統の維持のために、旧皇族の子孫である男子を皇籍復帰、もしくは天皇家の養子にする案に賛成」と明言した。この問題に関する限り民意と政権与党との間には、大きな「ねじれ」があると言えよう。