みなさまのお悩みに、脳科学者の中野信子さんがお答えします。

中野信子さん ©文藝春秋

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Q 頻尿が恥ずかしい──17歳・男子高校生からの相談

 僕は高校入学後、極度の状態までおしっこを我慢したため、心因性頻尿という病気になってしまいました。授業中にトイレに行く場合は先生にことわる必要があり、とても恥ずかしいです。身体には異常は無いため、心の問題であることはわかっています。

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 校内のカウンセリングにも行き、意識をそらす方法や呼吸法について教えてもらいましたが、いざトイレに行きたくなるとそれどころではありません。元々一つの事にとらわれやすい傾向にある気もします。何か脳科学的にアドバイスがあれば教えてほしいです。

「膀胱付近を温めてみては?」中野信子の回答

A まず、お伝えしておきたいのは、一つのことにとらわれやすいというのは、決しておかしいことではないということです。たとえば、ほとんどの研究者はそうですし、そのほうが研究者としての適性があるのです。

 こだわりの強さが自分の弱点、と感じられているかもしれませんが、弱点としてそれを潰すことを試みるよりも、せっかく持っているその性質を、むしろ自分の強みとして活かしていくにはどうすればいいか、を考えるほうが価値的ですし、楽で効率がいいと思います。将来、きっとそれがあなたの武器になります。

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 そして頻尿については、ものの本によれば、1日8回以上トイレに行く、あるいは夜間に2回以上トイレに起きるのは「頻尿」とされているようなのです。そうなると、私もそれに当てはまってしまいます。生放送の前などはやっぱり「念のためトイレに行っておこう」と思いますしね。

 ただ、これはどちらかといえば脳というより膀胱を支配する神経の問題といえるかもしれません。膀胱が尿がたまる前に、勝手に神経が命令を出して収縮が始まってしまい、その結果トイレに行きたくなる、ということのようです。

 一つの方法としてご提案したいのは、膀胱付近を温めるという方法です。鹿児島大学のラットを使った実験によると、膀胱付近を42度に温めると、36度(体温)の時よりも、膀胱の収縮圧が弱まったのです。近傍の神経がリラックスするからでしょうか。

 ただ、男性なので、睾丸はあまり温めないほうがよいでしょうから、そこは位置をちゃんと調整して、気を付けたほうがいいかもしれませんが。