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23区内で住むなら“文京区が最強”のワケ

2022/06/14
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文化的な香りを残す人気の街

 住み心地はどうだろうか。文京区は江戸時代から大名屋敷が軒を連ねていたこともあって高級住宅地に事欠かない。本郷に近い西片、三菱財閥の重鎮が好んで住んだ大和郷(やまとむら)、本駒込、茗荷谷に近い小日向、目白台などは、高台に位置する都内屈指の高級住宅地だ。

 文京区はお高くとまったセレブの街ばかりで構成されているわけではない。「谷根千」として今ではすっかり有名になったが、文京区の根津、千駄木に台東区の谷中を加えた下町エリアには、手ごろな価格の飲食店、居酒屋、物販店が並ぶ。それでいて明治時代には夏目漱石や森鴎外などが居宅を構え、文化的な香りを残し、人気の街である。住宅価格も高台エリアに比べれば割安であり、それでいて情緒豊かでくすんだところがない。

 江戸時代から、幕府は江戸の北からの夷狄の侵入を防ぐ目的があったとされるが、この文京区や台東区のエリアに多くの神社仏閣を配置した。確かに区内を歩くと、区の面積のわりに実に多くの神社仏閣があることに気づかされる。東京十社のひとつ、つつじで有名な根津神社をはじめ学問の神様湯島天神、白山神社、護国寺、伝通院、吉祥寺など大小数多くの神社仏閣は、街のそぞろ歩きにもってこいだ。

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湯島天満宮(湯島天神) ©️iStock.com

 神社仏閣は多くの緑を提供するが、区内には公園も数多く存在する。本駒込にある六義園は徳川綱吉の側用人だった柳沢吉保の下屋敷として造営された大名庭園である。春には庭園内の桜が、秋には紅葉がライトアップされ、地元のみならず多くの人が詰めかける。小石川植物園は、江戸幕府が設けた御薬園が始まりで現在は東京大学理学部の所管。春の桜のシーズンには多くの花見客が押し寄せる。東京ドーム近くの後楽園は水戸藩主二代目光圀の時に完成した大名庭園で6月ころには花菖蒲が咲き誇る。

小・中・高から大学まで 充実した教育環境

 子供を持つファミリーにとって、教育環境は最も重要視するところだろうが、文京区には大学は東京大学をはじめとする国立大学のお茶の水女子大学、東京医科歯科大学、筑波大学があり、日本医科大学、順天堂大学、日本女子大学、拓殖大学、東洋大学など数多くの私立大学も学舎を構える。

 こうした大学に多くの生徒を送り込む有名校もひしめく。悠仁様の進学ですっかり有名になった筑波大学附属高校、お茶の水女子大学付属高校、桜蔭学園、駒込高校、郁文館高校、都立小石川中等教育学校などだ。

 公立小学校も負けていない。区内には3つの国立小学校(筑波大学、お茶の水女子大学の附属の小学校に加え東京学芸大学附属竹早小学校)があるうえ、3S+Kと呼ばれる誠之、千駄木、昭和、窪町小学校は教育熱心なファミリー垂涎の学校で、区内で売り出される新築や中古マンション、戸建て住宅を選ぶ際には、まずこれらの学校に通学できるかどうかが重要な判断基準になるという。