「週刊文春」の報道以降、次々と明るみになる芸能界の性加害。6月14日放送のNHK「クローズアップ現代」では、「封じられてきた声 映画界の性暴力〜被害をなくすために〜」と題し、当事者の告発や海外の映画業界の取り組みについて報じた。番組内で紹介されたハラスメントに関するアンケートでは「書ききれない」といった答えが寄せられるなど、映画業界に蔓延る性暴力の実態が明らかにされている。
スタジオには、「凶悪」「孤狼の血」などのメガホンを取った白石和彌監督がゲストとして登場。番組内で白石監督は「いたたまれない。言葉が出ない」と語り、俳優・女優、制作スタッフらへのハラスメントに対し「今このタイミングで色んな声を出すことが重要」と強調した。
被害者が声を上げるに至った背景には何があったのか。女優たちの告発を詳報した小誌の記事を再公開する。(初出:「週刊文春」 2022年3月31日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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「性被害」を題材にした映画「蜜月」。「週刊文春」では3月10日発売号、同17日発売号で同作の榊英雄監督(51)に「性行為を強要された」と語る女優(A子さん~G子さんまでの計7人)などの告発を報じ、3月25日から公開予定だった「蜜月」は公開中止に至った。
3月18日には、是枝裕和氏や西川美和氏など著名監督が「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します」との声明を発表した。女優たちの告発が、芸能界にはびこる性加害の実態を明るみに出しつつある。
“榊組”の一員でもある名脇役が女優に性加害
今回、2人の女優が、新たな俳優による性加害を「週刊文春」に告発した。
その俳優は木下ほうか(58)。木下は大阪府出身で高校時代から自主映画制作にのめり込み、16歳のとき井筒和幸監督の「ガキ帝国」で俳優デビュー。大阪芸術大在学中に自らの劇団を立ち上げた。その後、吉本新喜劇に約3年在籍したが島田紳助から「役者をやりたいなら東京に行くべきやろ」とアドバイスされ上京。3月21日にレギュラー放送最終回を迎えた「痛快TV スカッとジャパン」(フジテレビ)では「イヤミ課長」役で人気を博し、「はい、論破」という決め台詞は2015年の新語・流行語大賞にもノミネートされた。