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2022/07/30

母親としての「圧倒的な経済力」と「子どもを許す器」が私にはない

菅原 そうですね。あとは、私が母親になるとしたら「圧倒的な経済力」と「子どもを許す器(うつわ)」が必要だと考えているのですが、今の私にはそのどちらもないからです。

――どうしてそのふたつが必要だと思うように?

菅原 これも、母との関係が影響しています。私は舞台に出ている時からメイクさんに憧れていて、中学生くらいになると、徐々に「自分が表に出るよりも、舞台裏を支えるメイクさんになりたい」と思うようになったんです。

 中学卒業後の進路を決める時には、勇気を出して母に「これからは舞台に出るのを辞めて、美容系の高校に行きたい」と相談しました。

 

 でも、ものすごく反対されて。「今更どういう風の吹き回し?! メイクさんになりたいだなんて、笑わせないでよね!」と言われてしまったんですよね。だから美容系の高校に進学するのは諦めて、舞台も続けました。

 母は私がダンスや歌に集中できるように、高い学費を払って小中高一貫の学校に入れてくれたんですよ。それだけではなく、習い事にもたくさんの時間とお金をかけてくれた。つまり、私が舞台を辞めることは、母が必死に積み重ねてきた努力を無駄にする行為だったんです。母の実家は裕福だったけど、母には“私の勝手”を受け入れる余裕まではなかった。

いつか子どもを生んだことを後悔してしまうかも

――子育てにはお金がかかるし、子どものやりたいことに寛容にならなければいけない。だから「圧倒的な経済力」と「子どもを許す器」が必要だと考えるようになったんですね。

菅原 もし自分が母親になった時、子どものために一緒になって頑張ってきたことを突然「辞めたい」と言われたら、私も母と同じように「期待を裏切られた」と考えてしまいそうな気がするんです。子どものやりたいことを手放しで応援できるような「圧倒的な経済力」も「子どもを許す器」も、私には備わっていないから。

 

 そんな状態で子どもを産んでも、私は理想的な母親になれないし、いつか余裕をなくして子どもを産んだことを後悔してしまうかもしれない。そう考えると、どうしても「お母さんになりたい」とは思えないんですよね。

――母親との関係が、「お母さんになりたくない、だから子どもを産まない」という選択に大きく影響しているんですね。お母さまとのその後の関係は?

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