「夫婦だって所詮は他人だ」と思っていたけど……
菅原 私は血のつながりを信じていませんでしたし、「夫婦だって所詮は他人だ」とも思っていたんです。だから同じ家に住んで生活をしていても、自分本位に動いていました。でも、温かい家庭で育った夫から、「家族とはこういうものだ」というのを5年かけて教えてもらって。
今は家族としてお互い気遣い合えるようになって、24時間一緒にいるのも自然になりました。家族の絆を知らない私に、夫が根気強く付き合ってくれたおかげですね。今でも血のつながりによる絆は信じていないけど、家族の絆はあると思えるようになりました。
「少子化が進行する」「老後が寂しい」菅原さんに寄せられる非難の声
――夫婦仲は深まっているんですね。しかし子どもを持たない夫婦関係に対して、周りからは非難の声が多いとか。
菅原 いろいろと言われますね。でも私が言われていることはきっと、ほかの女性たちも言われていることだと思うんです。だから、何か言われるたびにライターである私が記事を書けば、傷ついている女性たちの心を少し軽くしたり、悩みの解決につながったりするかもしれない。そう解釈しているので、私自身はあまり傷ついていないですね。
――具体的には、どんな声が届くのでしょう?
菅原 「あなたみたいな人がいるから日本の少子化が進行するんだ」とか、「子どもがいないと寂しい老後になる」とか……。いくら産まない理由を説明しても「自分で産んだ子が一番かわいいし、それが女性の一番の幸せだ。その幸せを味わえないなんてもったいない」と言ってくる人もいます。
少子化を解決したいのであれば、私のように「産まない」と決めている女性を非難するのではなく、子どもを産みたいけど経済的に難しい女性を支援するべきだと思います。
また、老後の寂しさと子どもの有無は関係ありません。もし子どもがいたとしても、仲が悪かったら疎遠になるだろうし、仲が良くても仕事の都合などで離れて暮らすことになるかもしれない。何より、自分たちの老後のために子どもを産むのは、正直どうなのかなと思うんです。子どもの人生は、子どものものじゃないですか。
私のようなDINKsだけでなく、子どもが欲しいけどまだいない夫婦に対しても、こういったことを平気で言う人がいるんですよ。
――「結婚したら子どもを作るのが当たり前」みたいな固定観念から、デリカシーのない言葉を浴びせる人もいますよね。