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ガバナンスが存在しない女子医大「深刻な経営危機が起きる」

 ICUの事実上の崩壊は、女子医大の経営にも暗い影を落とす。患者数が激減している女子医大病院は、今年4月から6月まで、連続して2億円を超える赤字を記録した。経営の指標となる病床稼働率は、6月で「57.2%」。一般的に、経営を維持できる病床稼働率の損益分岐点は「80%強」なので、相当に厳しい段階にある。

東京女子医大病院

 この状況で、9月以降に診療報酬が高いICUが崩壊状態となると、赤字額の増大は避けられない。経営悪化の泥沼に陥る可能性が高まる中、岩本絹子理事長からは教職員に対して何もメッセージはないという。

「今の女子医大には、ガバナンスが存在していません。岩本理事長の周辺はイエスマンばかりで、反対意見を言うと排除されてしまう。本来はお目付役であるはずの監事や評議員さえも責任を果たさず、単なるお飾りです。女子医大にいる外科医たちも、ICUの崩壊で手術ができないなら辞める、と言っています。深刻な経営危機が訪れるのは時間の問題ではないでしょうか」(前出の外科医)

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常識では考えられない嫌がらせや、理不尽な懲戒処分を乱発

 集中治療科の医師たちが一斉に退職すれば、ICUの崩壊による混乱は容易に予想できたはずだ。その決断について、女子医大の中堅医師に聞くと、意外な答えが返ってきた。

「一斉に退職するのは、止むを得ないと思います。これまで貢献してきた集中治療科の先生たちに対して、十分な説明もなく契約途中で解雇したり、まるで追い出すような仕打ちを経営陣がやったと聞きました。非難されるべきは経営陣の方です」

 取材を進めると、2021年7月に設立された「小児ICU」をめぐり集中治療科の医師たちに対して、経営陣は常識では考えられない嫌がらせや理不尽な懲戒処分を乱発していたことが判明した。その全容は、後編として#6で詳しくお伝えしたい。(#6へ

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