国税職員を含む男女グループが新型コロナウイルスの持続化給付金を詐取した事件で、10月12日、関与した佐藤凜果被告(22)の論告求刑公判が東京地裁で行われた。検察側は「最終的な実行行為を担っていて責任は重い」として懲役2年を求刑。これに対して弁護側は「立場は従属的」だったとして、執行猶予付きの判決を求めている。
最後の意見陳述で、謝罪の言葉とともに「今後は一切悪いことはしません」と語ったという佐藤被告。初公判ではこれからについて「今後は貯蓄や『つみたてNISA』などを利用してコツコツためていきます」として、反省の弁も述べていた。総額2億円にも上る国税職員も関わった大規模詐欺事件について「週刊文春」の特集記事を公開する(全2回の2回目/#1 《懲役2年求刑》「今後は貯蓄や『つみたてNISA』などでコツコツ」22歳美人不動産OLを狂わせた“憧れの元大和証券マン”〈2億円コロナ給付金詐欺〉から続く・肩書き年齢などは掲載当時のまま)。
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相次ぐコロナ給付金の詐取事件。国税職員も加わった男女グループは得意分野ごとに役割分担し、無知な若者を食い物に。さらに主犯は9億詐取の“三重一家”同様、海外に高飛び――。罪悪感なき詐欺師たちの素顔を暴く。
「実は、中峯が約3年前から信奉していたのがマイニングエクスプレス(ME)という仮想通貨関連事業でした。マイニングとは、暗号資産の取引を記録する作業への報酬として暗号資産を得る仕組み。MEは電気代が安く気温が低いウクライナにマイニングの工場拠点を置くことで、低コストの作業が実現できると喧伝。月7%前後の高利回りの配当に加え、別の投資者を勧誘すれば、数%の報酬を得られるという典型的なマルチ商法です」(捜査関係者)
秋葉原のセミナー会場で撮影された1本の動画。そこには中峯が緊張の面持ちで観客に対してスピーチするシーンが収められている。
「韓国の友達にも声かけてるんで、世界にどんどん広げていきたいと思います」
そう語った中峯を祝福し、慣れた様子でマイクを握ったのが松江大樹(31)。彼こそがMEの大幹部であり、給付金詐欺グループのトップに君臨している男だ。
グループのトップに君臨した男の正体
「中峯が心酔していた松江はMEの若手トップリーダー。40億円の売上を達成し、インペリアルダイヤモンドというタイトルを持っていた。オレンジ色のランボルギーニを乗り回しています」(MEの元メンバー)
イベントの登場シーンに用いられていた松江の“自己紹介動画”。約4700万円のロールスロイス・レイスから颯爽と降り立った松江の腕には、1300万円以上のリシャール・ミルが巻かれている。