昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

ある公職者に肩を抱かれて身体を触られ…会見中止を要求された統一教会「二世」の告白

 約6年前、彼女は両親に向け、遺書を書き上げた。

〈私が死んだのはお前らのせいだ でも大好きだったことも嘘じゃない 悔しい悔しい 悔しい 生きていたかった 愛し愛されたかった〉

 自宅の祈祷室に掲げられた創始者の写真と向き合い、土下座を繰り返した幼少期。苦海を彷徨った日々の記憶がありありと脳裏に蘇る。彼女は〈さようなら〉と結語を綴り、ペンを置いた。

会見時に涙を流す小川さん

◆ ◆ ◆

教団から会見中止を要請するメッセージが届く

 東京・丸ノ内の日本外国特派員協会。10月7日、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の元二世信者・小川さゆりさん(仮名・26)が記者会見に臨み、合同結婚式の末に生まれた“神の子”として育てられた自身の窮状を切々と訴えた。会見場が緊張感に包まれたのは、約50分後のことだ。

「旧統一教会の方からメッセージが届きました」

 同席していた小川さんの夫がA4サイズのFAXを手に、言葉を続ける。

「ここには彼女の両親の署名が入っています。〈彼女は精神に異常をきたしており、安倍元首相の銃撃事件以降、その症状がひどくなって、多くの嘘を言ってしまうようになっています。そのため、この会見をすぐに中止するように〉というメッセージが届きました」

教団が外国人記者クラブに送ったFAX

父は筋金入りの信者 家には壺や聖書が溢れていた

 1週間後の10月14日、統一教会広報部は中止要請について〈小川さんがこれ以上公の場に出ることで、ご本人の症状が悪化することを心配した「親心」からです〉とコメント。当の小川さんが憤りを隠さず言う。

「あのFAXは会見を止めるための脅しだと思いました。両親は私の病気について一切向き合わず、放置してきました。両親も教会も『悪霊の仕業だ』『あなたの努力が足りない』と取り合ってくれなかった。急に親心と言われても違和感しかありません」

 1995年、小川さんは6人きょうだいの長女として生まれた。父は国立大で神学を学んだ後、米国に本部を置く統一教会系の私立大・統一神学校に留学した経験を持つ、筋金入りの信者だった。家には壺や聖書が溢れ、祝福二世として育てられた。

「教会では『神の子である祝福二世は生まれながらに罪がない』と言われ、それゆえに『絶対に血を汚してはいけない』と徹底的に教えられるのです」(同前)