「あれでは人を襲っても仕方がない」
「ガリガリに痩せ、栄養失調からか爪や歯がボロボロのクマもいた。空腹で気が立ったクマもいて、あれでは人を襲っても仕方がない」との証言もあり、冬眠の習性も考慮されず、ノイローゼになって左右にウロウロとさまよう、というクマも見られた。
同牧場は、劣悪な飼育環境を何度も指摘されていた。自治体関係者や動物愛護団体が、たびたび視察に訪れていた。
この死亡事故を受け、施設は即休園。廃園を6月に繰り上げた。しかし事故後のクマの飼育状況はさらに悲惨になった。環境改善どころか引き続きエサの量を減らし「自然淘汰」を誘発するように仕向けた結果、さらに共食いにより5月に2頭が死亡。県による殺処分も検討されたが、観光に対する影響を考慮しその決定を引き伸ばした。
その後、県は非常勤職員を派遣した。また、さまざまな団体からの支援金や支援物資も集まってゆく中、残ったクマの飼育を続けながら、同時に受け入れ先を県主導で探すことになった。
結果的に、日本で唯一自治体が設置した、北秋田市のクマ牧場「阿仁熊牧場」を利用し、秋田県の出資で新しい施設を建設の上、その牧場でクマを引き受けることになった。
2012(平成24)年中にツキノワグマを、2013(平成25)年末からはヒグマ頭の移送が始まり、2014(平成26)年1月にはすべてのヒグマの移送が完了。新たに「北秋田市くまくま園」としてリニューアルオープンし、一連の事件は解決となった。
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