甲子園の強豪校・東海大菅生高校野球部の若林弘泰前監督(56)が部員に対して暴力をふるっていた問題。4月10日、警視庁福生署が若林前監督を暴行容疑で書類送検していたことがわかった。調べに対し「注意するためだった」と容疑を認めているという。
「週刊文春」は1月16日のスクープ速報で、若林前監督の暴力問題をいち早く報道。同校は1月26日、選抜高校野球大会の選考委員会に先立ち、暴力問題で謹慎中だった若林前監督と宮原上総部長(当時)の解任を発表していた。部員を追い詰めた若林前監督の暴力とは、一体どんなものだったのか。「週刊文春」の記事を再公開する。(初出:週刊文春 2023年2月2日号 肩書きは公開時のまま)
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〈ノックの最中の凡ミスを許さない。同じようなボーンヘッドを繰り返す選手には容赦なく怒鳴りつける〉
これは東海大菅生高校野球部監督の若林弘泰氏(56)の著書『叱って伸ばす』(竹書房)の一節だ。だが、実際には「怒鳴りつける」レベルの指導ではなかった。
「東海大出身の若林氏は1992年に中日入団。97年に引退して2009年、東海大菅生の監督に就任した。春のセンバツへの切符も手にしている。選手時代は時に手が出る指導で有名な、原貢氏、星野仙一氏の薫陶を受けていました」(スポーツ紙デスク)
小誌は1月19日発売号で彼が、1年生のA選手に対しノックバットのグリップで殴るなどの体罰を行い、退学に追い込んでいたと報じた。すると20日、日本学生野球協会は緊急審査室会議を開き、若林氏に4カ月、部長には1カ月の謹慎処分を下したのだった。
だが審査室の会見で示された、学校の報告を元に発表された事件概要は、事態を矮小化したものだった。
まずは体罰の中身。若林氏は8月31日の練習試合でA選手の尻を蹴って叱責。他の部員2人に対しても平手打ちを加えていたとしたが……。野球部関係者が呆れる。
「A選手が尻を蹴られたのは8月16日の試合です。また暴行は1、2回ではなく日常的に行われていた」