例えば「サザエさん一家に高級オープンカーを買わせるにはどうすればいいですか?」という問題。もちろん、『サザエさん』にそんなエピソードはないから「正解」はない。そうした問題を考えるのが今年4月からレギュラー化した『誰でも考えたくなる「正解の無いクイズ」』(テレビ東京)だ。毎週月曜~水曜の17時30分からの15分間放送という変則的な編成も異色ならば、MC陣もラッパーの呂布カルマ、Aマッソ・加納、相席スタート・山添寛という異色の組み合わせ。

 番組ではまずMC3人が、「波平から攻める。『家族にカッコいいと思われていますか?』って」(山添)、「無理矢理でも構わない。人質をとってとか」(加納)など“あたり”をつけた上で、各界の天才・奇才・変人に解答を聞き、“正解っぽい”答え=カルマルアンサーを導き出すというもの。この問題では「どうやったら買えるか」か「どうやって欲しがらせるか」か、それぞれが違う視点から考えていたのが面白かった。

 大喜利に近いものから倫理的な問題、心理テストのようなものまで多種多様な問題が1日1問出題されていく。それはタイトルにあるように「誰でも考えたくなる」ものばかりで、15分じっくり考えられるし、様々な角度からの答えが寄せられるため思考が深まっていき刺激的だ。

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誰でも考えたくなる「正解の無いクイズ」(テレビ東京公式サイトより)

 そして何より面白いのは解答にその“人間”が出ることだ。たとえば「強制タイムトラベル 今すぐ1000年前か1000年後に行ってください。あなたは過去と未来どちらに行きますか? ただし一度行ったら戻ることはできません」という問題。元傭兵のテレンス・リーやプロポーカープレイヤー・世界のヨコサワといった冒険心の強そうな人が堅実に過去を選ぶのに対し、「自分の研究成果が残っているか知りたい」と答えた脳科学者・澤口俊之を始め、一見慎重に見える学者たちのほうがロマンを求め未来を選択していた。

 また「親友がくれた食べ物を一緒に完食し、直後にこう言われました。『今の盗んできたやつ』あなたならどうする?」という問題では、「天才は苦手なんじゃない?」と加納が予測したとおり、天才たちの解答の多くは“行為”に主眼を置き、親友のことをあまり考えていない。ここで意外にも真っ当な答えを出したのは“奇人”と言われるトム・ブラウンの布川。「みんなそうだと思いますけど」と前置きした上で「友達を諭しますけど、諭してもわかるかどうかわからないので、自分で食べ物屋さんに行って同じものを1個頼みます。それで盗んだ分のお金も置いて帰る」と答えMC陣を唸らせた。

 問題に「正解」は無い。けれど、その解答で、それぞれの生き方や人間性を窺い知ることができるのだ。

INFORMATION

『誰でも考えたくなる「正解の無いクイズ」』
テレビ東京系 月、火、水 17:30~
https://www.tv-tokyo.co.jp/seikainonaiquiz/