さらに、ネット上で賞賛を受けたことをきっかけにダークサイドに向かってしまうネイトを見ていると、「男は強い権力を持つべき」「周囲から賞賛される存在になるべき」という、社会の中で共有される男性への暗黙の期待が影響したのではないかと感じます。また、ネイトのお父さんが息子を誉めてあげることができないのも、「身内を誉めることなど男の美徳ではない」というストイックな観念があってのものなのではないかと思うのです。
コロナのパンデミック禍で、アメリカの大学の体育会アスリートの自殺者数増加が問題になりました。強さを求められた彼らが助けを求めることができたならと思うと、悔やまずにはいられません。
「男の子も泣いていい」
心というのは無理をすればするほど、隠そうとしている負のエネルギーが別の形で出てきてしまうものなのです。感じてはならない「『弱い』感情」がこみ上げたときには、それをジョーク、あるいは怒りで隠したり、自分を大きく見せようと無理をすることで、実は心に大きな負担をかけてしまうこともあります。
攻撃性やパニック発作、また内科的な原因が見つからない身体症状は、正直に向き合っていない感情が表面化したものであることも多く、逆に、感じたままの感情を受け止め、咀嚼していくことで、今までとは違った内的な力を築くこともできるのです。
「男の子も泣いていい。何かを怖いと感じてもいい。悩んでいることを打ち明けてもいい。苦しいときには助けを求めてもいい。お互いをサポートし合う友情を大切にしていい」。私の息子たちが育っていく中でこのようなメッセージを受け取れることを願っています。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。