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「足がないことより絶望した!」16歳で交通事故に遭い、両足切断した“車いすモデル”(25)が手術後に“最もショックを受けたこと”

『私はないものを数えない。』より #1

2023/06/03

genre : ライフ, 社会

note

「やりたくて、できること」が見つけやすくなった

「どんなことだって、やればできる! 可能性はゼロじゃない」

  両足をなくす前、心のどこかで思っていた。私に限らず、健常者は少なからずそう思っているだろうし、学校なんかでも「夢はかなうと信じよう、ポジティブに考えよう」と教えられがちだ。

 でも、「なんでもできる」と言われたら、逆に困らない?

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「なんでも」ってよくわからないし、「やればできる」って呪いみたいだ。

 あまりにもたくさん選択肢がありすぎて、いったい何をしていいのか、迷子になりそう。

 そしてできなかったら、「努力が足りない」と自分を責めてしまいそうだ。

 だけど今の私は、「これはできない・あれはできない」と、物理的にできないことがはっきりある。

 だからこそ、自分が「やりたくて、できること」が見つけやすくなった。

 私が一番好きな色は赤だけど、もしもこの世界にある色のすべてが好きで、そのすべての色が似合っていたら困ると思う。

 スマホケースの色をなんにするかも選べないだろう。

 でも、好きな色と似合う色があったら、「私はこれ」ってすぐに選べる。

 できないことがあると、できることがわかるって、これと似た感じだ。

何ができるか見えてきたら、やろうと決めてやるだけ

 両足をなくして、「私はこれ」って選べるようになった。

 無数にあった選択肢がほどよく絞られて、それでもまだまだたくさん選択肢はあって、快適で、ちょうどいい。

 好きなように選んで、好きなように楽しんで、だからとてもハッピーだ。

2023年3月にはパリコレクションのランウェイを歩いた(『私はないものを数えない。』より/撮影=Sumiyo IDA)

 ある意味、生きやすくなったと思ってる。 

 16歳までの私は、いつも将来や未来ばかり楽しみにしていた。 

 25歳の私は、今を全力で楽しもうと思うようになった。

 できないことがあったら、何ができるかが、はっきり見えてくる。

 何ができるか見えてきたら、やろうと決めて、やるだけ。

 ね、わりと簡単な話だよね?

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

私はないものを数えない。

私はないものを数えない。

葦原 海

サンマーク出版

2023年5月25日 発売

「足がないことより絶望した!」16歳で交通事故に遭い、両足切断した“車いすモデル”(25)が手術後に“最もショックを受けたこと”

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