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反則行為を繰り返すようになったきっかけ

ーー思春期になると、さらに禁止項目が増える?

関口 小学5年、6年の頃から、女性と軽々しく口をきいちゃいけないと言われるんですよ。女の子のことに関しては、ものすごく厳しく言われましたね。

ーーそういったことを禁止されることは、どう感じていましたか。

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関口 当時はまだ教義を信じていたので、性に興味を抱くことの罪悪感と男としての本能の間で、もがき苦しむといいますか。ぶっちゃけた話になるけど、自慰行為も禁止なんです。それが夜中のジレンマ・タイムになって、たまらんのですよ。で、我慢した挙句に夢精しちゃう。

ーーそれはまたつらいですよね。

関口 つらいですよ。ただ、それに関してはとがめられなかったですね。「しかたがない」と。

 でも、中学生になってからは、だんだんと反則行為を繰り返すようになって。

ーーそれはどういったきっかけで?

関口 中学1年生のときにバプテスマという洗礼を受けることになったんですけど、ちょっと抵抗があったんですよね。そんな時期に、家で想像上の生き物の絵を描いていたら、母に「これ、悪魔みたいじゃない?」「こんなものを描いてちゃ、洗礼を受けられないわよ」と怒られた。そもそも洗礼を受けたいなんて思ってないのになあって。

 

ーー洗礼は受けましたか。

関口 結局、あきる野市の東京サマーランドのプールで洗礼を受けたんですけど、水着に着替えながら「なんか違うんじゃないかな」と思っていて。 

ーー「東京サマーランドで洗礼を受けた」って、通常の客たちもいるわけですよね。

関口 そうそう。波のプールだったかな……大きなプールの一区画を借りて、コースロープを設置してそこで洗礼をやるんです。コースロープの向こうじゃ、同じぐらいの年の子たちがビーチボールで遊んで、ワーワーキャーキャー言ってて、夏っぽいBGMが流れていたりする。こちらが貸し切っているスペースはごく一部で、向こうが圧倒的多数なわけですよ。

 エホバの証人の洗礼では、大人の人に後ろから抱えられて、ザブンと水のなかに漬けられるんですけど、その行為ってやっぱり異様で。他の教会での洗礼のように、水をパッパッとかけられる軽いものじゃなくて、ほぼ裸というか、水着姿になって逆さに入水する行為なので。

 洗礼をひとり済ませるたびに、周囲で見ている信者の人たちが拍手をする。普通のお客さんのなかには、「なにやってんだ?」みたいな感じで見てくる人もいて。

 こっちの世界とあっちの世界で、引き裂かれているような感覚がありました。自分のなかで対立する意見が存在していることを、なんとなく自覚しましたね。

写真=深野未季/文藝春秋

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