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 こういった「社会貢献をしたい!」という行動は、もちろん買い物以外にもみられる。同調査によれば、SDGsに関して当然しなければならないことだと認識している項目として、72・9%が「LGBTQなど性やジェンダーに配慮する」をあげている[図表5−3]。

若者が「差別的な発言」をしないように気をつけている理由

 SNSにおいて、若者は自ら情報発信したり、共感できる投稿をシェアしたりしているが、差別的な発言とならないように気をつけている者は多い。これには、二面性があると筆者は考えている。

 まず、常にSNSによる炎上リスクを認識しているという環境要因である。SNS社会に身を置く我々は、ある意味、常に監視されているといっても過言ではない。自分の言動が差別的であると認識されてしまった場合、攻撃対象となって社会的制裁を受けることもある。

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 そのようなSNSによる炎上事例を反面教師にして、差別的な発言をすることに対するリスクを認識しているわけである(これは、「炎上したくないという動機によって差別発言が抑制されているから、差別をしない」という意味ではないことに留意されたい)。

 次に、世間で多様性と呼ばれているものの多くはこれまで表層化していなかっただけで、意外と自身の周りで起きていると若者は認識している。だから自身が当事者でなくとも、他の人たちの生き方を否定しない。むしろ、権利や差別を訴えている人たちに対して、声を上げていることを評価し、応援したいと感じるようだ。

 SNSで声を上げやすいため、友人や知り合いがそのような問題の当事者だと認識できるようになったことも大きいかもしれない。SNSでは「いいね」やシェアによって応援が可視化され、発信者の自己肯定感(存在意義や価値)の高まりにつながる。個々がそれぞれ己の幸せを追求する「ウェルビーイングな社会」をあるべき姿だと考える若者は多い。だからこそ、ウェルビーイングを目指している人たちを茶化してはいけない、馬鹿にしてはいけない、排除してはいけない、という空気感が完成している。

©AFLO