Z世代の特徴に「共闘」の意識がある。Z世代以前の世代は、小さい頃から、地球温暖化に配慮しなくてはいけない、差別はしてはいけないなどと「習ってきた」が、自分の世界のことではない、傍観者としての立場だったのではないだろうか。しかしZ世代は、他人と競うより自分を高めるという教育のもとで育っている。また、若くして東日本大震災を経験しており、「人々がともに生きていく」という意識が当然のものと思っている。そしてSNSにおいて、世界中で起きている不平等の問題や、誰かが権利を得るために立ち上がる場面を目にし、多様性の重要性や、人の価値観は十人十色であることを実感している。
昔は、社会的な変化を生み出そうとしても、自分1人では達成するのが難しく、マイノリティになりがちだったが、SNSを開けば自分のような志を持った人が大勢いて、実際に世界を動かしていることがわかる。自身の小さな行動でも、その志を持つ者が集えば達成できると考えているのかもしれない。
SDGsへの関心
このような意識は、SDGs(持続可能な開発目標)に対する国をあげての取組みも大きな要因になっていると筆者は考える。SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択されたもので、貧困問題、環境問題、多様性など世界が抱える問題に対する17の国際目標である。政治経済の範囲に留まらず、昨今ではテレビのトピックとして取り上げられたり、大学の講義テーマとして扱われることも多く、若者にとっても身近な言葉になっている。
産業能率大学経営学部小々馬敦研究室が全国の大学生を対象に実施した調査によれば、およそ半数がSDGsに関して大学の授業で学んだと回答している[図表5−1]。
また、実際にSDGsに関して共感し実行していることに関しては、「商品はなるべく最後まで使い切る」「食べ残しがないように心がける」といった項目が6割を超えているが、それ以上に、「エコバッグを持ち歩く」が56・6%という結果に筆者は驚愕した[図表5−2]。2020年7月より全国でプラスチック製買物袋の有料化が決まり、買い物のたびに袋代を支払うのは無駄な出費なのかもしれないが、それでも大学生の2人に1人がカバンにエコバッグを忍ばせていると考えると、単純に「えらいなぁ……」と感心せざるを得なかった。