競輪では1991年12月末に4379人いた選手が2010年12月末には3386人に減っている。さらにその後も減り続け、19年には2190人となっている。グレードレース以外を七車立てとしたのは、選手数の減少によるところも大きい。また、オートレースでは非グレードレースでの2回乗り(1日に2回出走)を復活させている。
競技場の廃止や選手数の減少は、製造業でいえば工場や熟練工の削減にあたる。景気が良くなったからといってすぐに増やせるものではない。あくまで結果論だが、「工場」と「熟練工」を維持したボートレースの成長は当然だろう。
21年度の地方競馬の売上額は9333億円で、1991年度の9862億円に迫る額となった。
深刻な人手不足で外国人廐務員が増加
91年度は全国30の地方競馬場(うち三場はJRAから借用)で24の主催者が2417日間地方競馬を開催。2021年度は14の主催者が17場(うち、JRAから借用の札幌と中京は長らく開催されていないので、実質15場)で1271日間開催した結果だ。
開催日数はバブル期の52.6パーセントで、売上は94.6パーセントだ。1日あたりの売上は91年度が4億円、21年度が7億3000万円と大きく増えている。だが、伸び率は主催者ごとに大きな差がある。岩手県競馬組合や石川県・金沢市(金沢)は91年度の売上に届いていないし、特別区競馬組合(大井)も91年度とほぼ同じ水準だ。
帯広市(ばんえい)、高知県競馬組合(高知)、佐賀県競馬組合(佐賀)、千葉県競馬組合(船橋)など、ナイター開催の比率の高いところの伸び率が高い。
「工場」と「熟練工」が減った競輪やオートレースと異なり、地方競馬は競走馬資源という「原材料」供給の問題もある。実はいま廐舎が飽和状態にある地方競馬場が多い。好景気で競走馬を所有したい人が増え、競走馬の生産頭数も増加している(価格も高騰している)のだが、受け入れ可能な廐舎が増えているわけではない。