ただし、なりすましに対応するには、コードに加えて、人手も必要だ。しかしマスクは既に、ツイッター社員の半数をレイオフしており、ユーザーに対応する業者も8割方切ってしまっていた。
昨年11月9日の朝、ツイッターブルーが開始された。果たしてマスクが恐れていた通り、なりすましが猛威をふるった。有名政治家などになりすました偽アカウントなのに、青いチェックがついているケースが頻発した。
テスラもなりすましツイートの被害に「ガキどもなんぞクソ食らえ」
大手広告主のなりすましも悪質だった。医薬品メーカーのイーライリリーのなりすましアカウントが「今後はインスリンを無償で提供する」とツイートし、株価が1時間で4パーセント以上も急落した。
コカ・コーラ社のなりすましでは「リツイートが1000件を超えたら、コカ・コーラに、また、コカインを入れます」というものもあった。任天堂のなりすましアカウントからは、中指を立てたマリオが投稿された。
皮肉なことに、テスラも以下のようななりすましツイートの被害に遭ってしまった。
「当社の車はスクールゾーンの速度制限など守りません。ガキどもなんぞクソ食らえ」
「ニュースです。2台目のテスラが世界貿易センタービルに突っ込みました」
これらの大炎上を受けて、マスクは何時間か規則を追加したり、なりすまし連中を脅したりとがんばった。しかし翌日には方針を変え、ツイッターブルーの本格導入を何週間か延期とした。
予想外の大炎上で大変な目に遭ったマスク。だが、決して課金制度をあきらめたわけではなかった。その証拠に、翌月には次なる手を打っている。すなわち、ツイッターのアプリを握っているアップル社への挑戦である。