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 やりたい放題の馳。今回の発言に対し「事実誤認だった」と押し通せばいけると思っている姿は、ふだん地元で強引に振舞っている悪癖を東京でお披露目しているだけなのである。みっともない。

 では続けよう、馳浩の正体の(2)「虎の威を借りる馳浩」。なぜ馳はそんな強引な態度ができるのか?

©文藝春秋

やりたい放題できるわけ

 定例会見拒否では「地元メディアの報道姿勢」も問われている。新聞労連や民放労連からなる「日本マスコミ文化情報労組会議」は声明文で「メディア側の対応も十分とは言えない」と指摘している。石川県で大きなシェアを誇る「北國新聞」はこの問題ではおとなしい。北國新聞は馳浩の“後見人”である森喜朗と近いとされる。馳はそんな安心感もあって言うことを聞かないメディアを名指ししているように見える。こうした「虎の威を借る狐」感が馳浩には昔から漂うのである。

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 プロレスラーでバリバリだった90年代、馳は新日本プロレスの現場監督でもあった長州力の側近として如才ない働きをしていた。私は当時から「政治家がプロレスをしている」と思っていたほどだ。こういうやり手な人は「おヌシもワルよのう」とニヤニヤして見ていればいい。それも人間の見方の楽しみの一つだ。

 しかし公人となると話は別だ。馳浩は森喜朗にスカウトされてあっさり政治家になった。森喜朗の下で東京五輪招致にも「汗をかいた」ことは事実だろう。しかしその部分におかしなことがあったなら「おヌシもワルよのう」ではすまされない。馳浩は、森喜朗氏や安倍晋三氏という虎の威を借り、遂に石川県で知事になり、気に入らないマスコミに難くせをつけて振舞っている。それが現在だ。

異論があるなら…

 今回の講演の発言も、失言とか馬鹿正直というより、「俺はこれだけ力がある」と誇示したようにしか見えない。自爆するべくして自爆したように思う。皮肉にも「森喜朗の東京五輪」検証も再燃するだろう。

 ここまで書いてきましたが、馳知事、異論があるならもう一度私と対談しませんか?