《馳氏は、同社制作で、昨年10月公開のドキュメンタリー映画「裸のムラ」で、馳氏や県職員の映像が無断で使用されていたとして、「肖像権の取り扱いについて、倫理的に納得できていない」と語った。そのうえで、同社社長と議論の場を持ちたいとした。》(朝日新聞デジタル1月27日)
つまり馳知事は石川テレビのドキュメンタリーが「気に入らない」から意趣返しとして自分のプロレスの映像は貸さないと言っているに等しい。滑稽にすら思えるがこうした圧力は地元では効果があるのだろう。
実は、映画『裸のムラ』(五百旗頭幸男監督)は権力を持ったおじさんの振る舞いや、それに対する忖度や同調圧力を描いていた。馳浩は映画どおりに権力を振り回していたことになる。
定例会見も拒否
理不尽にも石川県では3月以降、知事の定例記者会見が開かれない状況が続いている。その代わりに馳知事が「県民会見」と名付けた随時会見は2週間に1回くらいのペースで開かれている。しかし随時会見では県側に不都合な時に開催されない可能性がある。会見が権力者主導なのだ。
定例会見拒否について馳氏は次のように述べている(毎日新聞9月3日より)。
「(私は)定例会見は拒否していない。石川テレビ社長が肖像権の取り扱いについて、県民の前で議論をしたいという私の申し入れを拒否しているのが事実だ」(7月28日)
いかがだろうか。こんな意味不明な理屈で押し通しているのだ。馳知事の言う肖像権について立教大社会学部長の砂川浩慶教授(メディア論)は、
「肖像権のあり方を定例記者会見を開かない理由とするのは、全く別の問題で論理のすり替えだ。やり取りを見ていると、会見を主導したいという姿勢が見える」と指摘する(毎日新聞・同前)。