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ひざの痛みはどうすればなくなるのか?
病院で日々、たくさんの患者さんにお会いします。最初の診断で、ひざ「だけ」に焦点を当て診察をしていても、原因にたどり着けないことがあります。そんな、ひざだけを診ることを「ひざバカ」といって、自分を戒めてきました。
もちろん、ひざが痛いのだから、ひざの痛みをとりたい、と思うのは当然のことですが、そんなときこそ、ひざ「だけ」を見ていてはいけないということです。
まず、ひざから離れて、全身のバランスを見ること。
ときには、歯の嚙かみ合わせが悪くて、からだのバランスが崩れ、それがひざ痛に出ているということもありました。嚙み合わせの悪さにより姿勢が崩れ、全身に問題が波及して、ひざに症状が現れていたのです。
患者さんにしてみれば、「そんなことより早く痛みをとってほしい」「全身バランスなんて、そんな耳の痛い話は聞きたくない」「トシのせいだからしかたない」と、片付けたくなるのかもしれません。誰でも年齢を重ねれば筋力が落ちて、いずれ歩けなくなるのはしかたがないとか……。いえいえ、それは大いなる誤解です!
たしかに、加齢によって筋力は低下しますが、からだを正しく使えていれば、年齢に応じて必要な筋肉の質量は保たれます。
姿勢の崩れにより、からだを正しく使えなくなって、活動できなくなるから、必要な筋肉が保てなくなる──が正解。すべて「トシのせい」ではないのです。