「浪費メンタル」が「貯金メンタル」に変わったワケ
――勝手に理想を押し付けていたとは、例えばどんなことでしょうか。
ふゆこ 当時の会社には、左側通行のルールがあったんですよ。でも、たまに右側を歩いている人がいて、そういう人を見るとストレスを感じていました。
今なら「急ぎの用事があったのかも」「考えごとをしていたのかも」と思えます。でもあの頃の私は、「どんな場面でもルールは守るべき」という理想を周りに押し付けていたんです。そして自分自身にもその理想を押し付けて、苦しくなっていました。今考えると、これも私が節約できるようになるまで時間がかかった理由のひとつだったと思います。
――「こうあるべき」という固定観念が、節約がうまくいくかどうかに関わってくるのですか?
ふゆこ 「社会人なら上司から誘われた飲み会には必ず参加しなければいけない」「大人の女性なら良い服や高い化粧品を身にまとわなければいけない」といった固定観念に囚われていると、本当は興味がなくても「必要経費だから仕方ない……」とお金を使ってしまいますよね。しかも自分の本意ではないところに時間もお金も消費しているから、ストレスもかかります。
節約を成功させたいなら、他人軸で不必要な出費を繰り返してしまう「浪費メンタル」ではなく、自分軸でお金の使い道を決める「貯金メンタル」に整えることが大切なんです。
「節約」と「幸せ」を両立する両親の生き方にも影響された
――ふゆこさんはどうやって「浪費メンタル」を「貯金メンタル」に変えたのでしょうか?
ふゆこ 何か大きなきっかけがあったわけではなくて、小さな成功体験の積み重ねで少しずつ変化していったのかな、と思っています。転職して職場環境が改善されたとか、電気代を見直して節約できたとか。
余談なのですが、私の家族は母親が料理オタク、父親が音楽オタクなんです。好きなことには惜しみなくお金を使うのですが、それ以外のことには全然お金をかけない。子ども頃の私は、「なんでうちのお母さんはおしゃれしないんだろう?」「なんでほかのお父さんはみんな時計をしているのに、うちのお父さんは持ってすらいないんだろう」と思っていました。でも今振り返ると、ふたりとも自分軸の「貯金メンタル」を持っていたんだな、と。
「興味のないことにお金を使う必要はない」と思えるようになったのは、両親が「節約」と「幸せ」を両立している姿をずっと見てきたのも、大きいかもしれません。
写真提供=株式会社アスコム