(小学館特別調査委員会「調査報告書」)
また、「原作改変の問題」にはこうある。
漫画編集に関わった社内の複数のヒアリング対象者によれば、これまでも原作改変がたびたび問題になった。漫画とドラマでは表現方法が異なるのでどうしても原作を改変せざるを得ないことは共通認識として編集者にはあるところ、原作者が許容できないほどに原作からの改変をされ、編集者が修正交渉をすることもよくあったようである。
実務の実際では、改変が当然できると考えているようなテレビ局のプロデューサーもいる。テレビ局は時間に追われ、脚本を作りながらドラマ制作を進めていくので、作家にとって熟考する時間的余裕がなかった例も少なくない。
(小学館特別調査委員会「調査報告書」)
クランクイン前に全話の台本ができていた前例はある
日本テレビ、小学館ともに「最終話まで台本を作って原作者が許可を出してから、ドラマ制作が始められればベストだが……」とは考えたものの、「現実問題、そんなことはできない」と判断したようだ。今回の報告書公表と同時に、そう宣言すれば、少しはイメージ回復になったと思うのだが。
テレビ局は、実は「できない」のではなく「やろうとしない」だけであり、「現実的ではない」のではなく「ドラマの制作体制を改革する気がない」のではないか。
こんなふうに「本当は、やればできるくせに」とツッコミたくなるのは、原作がある連続ドラマでも、放送開始前に脚本が完成していた前例を複数知っているからだ。
同じ小学館原作、同じ脚本家でも脚本事前提出で揉めなかった
例えば、2022年1月スタートの「ミステリと言う勿(なか)れ」(フジテレビ)は、「セクシー田中さん」と同じ脚本家が、同じ小学館発行のベストセラーコミック(作・田村由美)の脚色を担当したが、主演の菅田将暉がラジオで語ったとおり、スタート時には、というよりはそのほぼ1年前に最終話まで撮り終わっていた。同作の松山博昭監督(フジテレビ)はこう語っている。