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スタバで商品を買う=「見せびらかしたい」?

 社会学者であるブライアン・サイモンによる「スターバックスがターゲットにしたのはビジネスピープル、旅行好きの人々、本を買うのが好きな『まともな稼ぎのある人々』であった」というものだ。すなわち、スタバはある種のアッパーミドル層を対象にしているという。そして、スタバで商品を買うことは、そうしたプチブルの「見せびらかしたい」欲望を適度に叶えるのだ、とやや辛口に論評している。私はスタバに行くたびにこの言葉が頭をよぎる。

 現代で、ここまで広く私たちに独特なイメージを持ったまま浸透している店も、なかなかない。しかも、それが世界中にあるのだからなおさらだ。

2020年「訪れるべき世界中のスタバ20選」に選ばれた、スターバックス 川越鐘つき通り店 ©AFLO

スタバは一つの国みたいなもの

 昔、冗談で、「スタバって一つの国みたいだよな~」という話をしたことがある。でも、実際、「選択と集中」という観点で見ていくと、なるほどスタバは確かに一つの国みたいなものかもしれない。

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 スターバッカーと呼ばれる人々がいる。何よりもスタバを愛し、世界中のスタバに訪れるような人々のことをそう言うのだ(「スタバ推し」というところか)。ここまで一つのチェーンストアに熱烈なファンがいることもない。「マクドナルド」や「吉野家」だとちょっと想像しづらい。この「集団」としての意識を満たしてくれるのが、やはりスタバの強みであり、それは同時に「選択と集中」の賜物なのだ(教会に足繁く通うキリスト教徒のような)。

 だからこそ、スタバは一つの国のようだといえるかもしれない。スタバ国。

 パスポートはMacのパソコンであり、公用語は、長いメニュー名。国家インフラは無料のWi-Fiと電源で、国旗は緑のセイレーンのロゴマーク。そして、スタバの商品を買うことは、国への納税行為でもある。スタバでフラペチーノを買ったあなた、あなたはすでにスタバ国へ納税しています。

 もしスタバを国家として捉えるならば、スタバの企業としての動きは一種の「国際政治」だともいえるが、その動きに、本当の政治が絡んでくることもある。