ソニーの“言い分”

 しかし、ソニーにも言い分はあるでしょう。

 プレスリリースに「昨今の世界的な経済情勢の変動などの厳しい外部環境を受け……」とある通り、物価高と円安が重なり、今回の決断に至ったことは想像に易いです。

 通常版PS5は米国では発売以来、約500ドル(499.99ドル)で販売され続けています。そんな中、2020年には1ドル100円台で推移していたレートが、今年6月には1ドル160円になるなど、大幅な円安となりました。2020年であれば米国で500ドル、日本では5万円で売れる商品でしたが、1ドル150円まで円安が進行してしまうと……。

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 そもそも、昨年の新モデル発売の時点で、レートは1ドル150円でしたから、その時に2万5000円の値上げをする選択もあったのです。良く言えば、1年の猶予をくれたとも捉えられるでしょう。逆に、意地悪に言えば、日本市場はソニーにとって世界シェアの1割しかないため、市場が停滞しても、経営的な悪影響は軽微だと判断したのかもしれません。今回の日本の値上げは、ソニーにも日本市場のためにレート以上に価格を下げる配慮、余裕がなくなったーーとも読めます。

ゲーミングPCが台頭するのか?

 今回のPS5の値上げを受けて、ゲームに特化した「ゲーミングPC」が取って代わるという見方も出ていますが、そこは意見が割れるでしょう。PS5と同性能のPCを買おうとすると8万円では到底難しいのが大きな理由です。PCを利用すれば、マイクロソフトのサービス(Xboxゲームパス)を使え、データ改造(自己責任)などもできますが、PS5同様の快適性を求めるとすれば、それは金銭的に余裕のある人のみに許された選択になるでしょう。