「JR東日本の中でも列車の運行本数が少ない」、「車両基地となる新潟車両センターは営業線の延長にあり、本線の途中から分岐していない」、「実施区間と新潟車両センターが近いため、車両側の調査やメンテナンスを実施しやすい」などの要素は検討されていたはずだ。
東京側は上越新幹線、北陸新幹線、東北新幹線の各方面から新幹線が合流して過密状態になるため、万が一自動運転システムに不具合があった場合にすべての路線に影響してしまう。
東北新幹線の新青森駅、北陸新幹線の上越妙高駅は終着駅ではなく、北海道新幹線や北陸新幹線へ直通するから、不具合があるとJR北海道やJR西日本に迷惑をかけてしまう。そもそも車両の運用が他社と共通だから、貴重な改造車両が他社に行ってしまうと試験ができない。
上越新幹線は、それらの問題をクリアしているのだ。
新幹線試験車両「ALFA-X」でも自動運転のテストが予定
上記区間のうち、新潟駅~新潟新幹線車両センター間で「無人運転」を実施する第2段階は、2029年度に実施を目指す。車両基地から入出庫する回送列車だから、乗客を不安がらせることなく、通常のダイヤに組み込んで経験を積める。
ここで十分な実績を積んだのち、次の段階として上越新幹線の東京駅~長岡駅間で「自動運転」を実施する。これで上越新幹線の全列車が自動運転となる。2030年代中頃には上越新幹線全体が「ドライバレス運転」になり、本線上でも乗客を載せない回送列車は「無人運転」とする。
将来は北陸新幹線や東北新幹線も自動運転の導入を目指すことになる。JR西日本も北陸新幹線の自動運転について技術開発に取り組んでおり、2023年5月9日にJR東日本とJR西日本は相互の技術協力を発表している。
JR北海道の北海道新幹線はJR東日本の技術開発に追随する形で導入されるだろう。次世代新幹線車両開発のために製造された新幹線試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」で自動運転試験を盛り込んでいる。