2ー5は感染したことがわかっているというものであり、それぞれ症状の重さが異なるが、まとめて「感染」とみなすことにする。6は「発熱などの症状があったが、検査をしなかったので、感染したかどうかわからない」という、少々問題ありのケースで、「感染の疑い」とみなすことにする。
7番目の選択肢として「その他」を設け、これを選んだ人には具体的な内容を記入してもらった。結果的にはこの選択肢を選んだ人はごく少数で、内容も「検査結果待ち」「まったくわからない」などという、無理もないものだったので、集計から除外してある。
図表6.2は、性別・階級別に感染状況を示したものである。感染経験のある人の比率(感染率)は、全体では男性が4.13%、女性が2.72%で、男性の方が高かった。女性では専業主婦の感染率が1.74%と低くなっていることが、全体の感染率を引き下げているようだ。
感染が判明すると働けないため検査を避ける人も…
階級別にみると、もっとも感染率が高いのは、男女とも資本家階級である。資本家階級といっても、その大部分は中小零細企業の経営者だから、自ら仕入れ先との交渉を行い、営業・接客等の最前線に立ち、多数の社員と日常的に接触している人々である。このため、感染しやすかったのだろう。
資本家階級では女性の方が6.91%と男性より感染率が高くなっているが、詳しく集計すると、配偶者のいない女性資本家階級の感染率が13.1%と、ひときわ高かった。女手ひとつで経営と営業に奔走したことが原因と思われる。
2番目に感染率が高いのは、男女とも正規労働者階級である。同じく正規雇用の新中間階級と比べると、男性で約1.5%、女性で約1.2%高くなっている。リモートワークが容易な新中間階級と異なり、現場に立って働くしかない人々だから、感染のリスクが高かったものと思われる。
アンダークラスの感染率は、男性で4.82%、女性で2.91%と、正規労働者階級より低くなっている。ただし注意しておかなければならないのは、アンダークラスで「感染の疑い」の比率が、男性で2.50%、女性で2.03%と高くなっていることである。とくに男性では「感染」と合計すると7.32%となり、資本家階級を上回る。おそらくアンダークラスには、感染が判明すると出勤できなくなり収入源を絶たれてしまうため、検査を避けた人が多かったのだろう。このことが、感染拡大のひとつの原因になった可能性がある。