頭のいい子を育てるには、どうしたらいいのか。東大生作家の西岡壱誠さんは「日曜劇場の『御上先生』が話題だ。過去の人気学園ドラマでは描かれたことがなかった、生徒へのある一貫した姿勢が参考になる」という――。

今までになかった“学園ドラマ”

TBSの日曜劇場「御上先生」が話題になっています。2月10日には、TVerの第1話の再生数が500万を突破したというニュースもあり、人気ぶりがうかがえます。自分も「教育監修」としてこのドラマに関わっているので、この盛り上がりをとてもありがたく感じています。

さて、これは僕の勝手な考察なのですが、「御上先生」は実は今までの学園ドラマにおける先生像とは大きく異なるポイントがあると思っています。もちろん「文部科学省の官僚が学校の先生をやる」という特殊な設定もありますが、もう一つ、今までのものとは大きく異なるポイントがあるのです。それは、生徒に答えを教えない、ということです。

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今までの“学校の先生モノ”では、「3年B組金八先生」の坂本金八先生(武田鉄矢さん)も、「GTO」の鬼塚英吉先生(反町隆史さん)も、「ごくせん」のヤンクミこと山口久美子先生(仲間由紀恵さん)も、“普通”の授業シーンがありました。

写真=iStock.com/mapo ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

「金八先生」は国語の授業で教科書を読んでもらうシーンがありましたね。「ごくせん」でもヤンクミが“普通”のやり方で数学の授業をしていました。どんな学園ドラマでも、基本的に先生は黒板に書いてある答えを書き写すように指示するシーンがほとんどでした。

それに対して御上先生の授業は、通常のものとは大きく異なります。

黒板に書いた数式をすぐに消した

例えば第2話では、いろいろな数式を書いた後で、まだ生徒がノートを取り切っていないにもかかわらず黒板を消してしまいました。「今書いてあったこと・学んだことを白い紙に再現できるか?」という勉強法を提示しました。

また第4話では、問題に対する解答の数式を書くのですが、そこにあえて、その黒板に間違いを紛れ込ませた上で、こんなふうに指導します。