「当時の私財をすべて投げ打っても…」

 40代に入ると、夏木の興味は再び舞台に向かっていった。41歳で舞台表現『印象派』を発表すると、10年以上をかけて日本、ドイツ、フランス、イギリス、ポーランドなどで9タイトル80ステージ超を公演し各国で高評価を得ている。

「『印象派』は、大した私財じゃないけど、当時の私財をすべて投げ打っても、『やりたい!』と思ったクリエイションだったのです」(2022年のVoCE webサイトでのインタビューより)と語っている。

夏木マリ「印象派」コレクション

 50代が近づくと存在感に迫力を増し、『千と千尋の神隠し』(01年)の湯婆婆や『ピンポン』(02年)『さくらん』(07年)などで“ただものではない感”を発揮した。

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 奔放なイメージとは裏腹に恋愛報道はほとんどなかった夏木だが、55歳のときに音楽家・パーカッショニストとして知られる斉藤ノヴとの交際を発表し、59歳で入籍を公表している。

 

 結婚後も活動を控えることはなく、デビュー44年めの62歳では歌手としての全国ライブハウスツアーを敢行。

 63歳の時には華原朋美、土屋アンナ、シシド・カフカ、LiLiCoと女性コーラスユニットの「and ROSEs」(アンド・ローゼス)を結成、64歳でレザーブランド「バリー」のキュレーターに就任するなど活動の幅をひろげつづけている。