撮影に慣れるのに時間がかかったことは……
死んでは生き返ることを何度も繰り返して17番目のバージョンとなったミッキーは、ある日、18番目のミッキーが創造されていたことを知る。同じ人間のバージョンがふたつ同時に存在することは許されず、17番目がまだいることが上にバレれば、ふたりとも殺されてしまう。
見た目は同じながら人柄が違うミッキー17と18を演じ分けるのは簡単ではなかったと、パティンソンは認める。
「そこに慣れるのには正直、ちょっと時間がかかったよ。とりわけ撮影の最初の週は、これをどうやるべきなのか、監督、エディターと一緒に話し合った。観客にはこのふたりの違いをわかってもらわないといけないが、違いすぎてはいけない。でも、2週間くらいすると、監督から『もっと17っぽくして』とか『もう少し18らしく』という指示があると、何を求められているのかピンとくるようになった。具体的にそれが何なのか、言葉にはできないけれど、どこを強調すべきかはわかったんだ」(パティンソン)
17の恋のお相手ナーシャを演じるナオミ・アッキーによれば、17と18が同時にいるシーンでは別の俳優がパティンソンが演じていないほうを演じ、ポストプロダクションで顔を変えたとのこと。ふたりともが出る場合、パティンソンはそれぞれを交代で演じなければならないため、撮影にはいつもより時間がかかった。しかし、代わりを演じる役者がパティンソンのしゃべり方や身のこなしも見事にマスターしていてくれたため、相手役を務めるアッキーにやりづらさはなかったという。
ひとり二役で出番が2倍あるうえ、アクションもシリアスなシーンもふんだんにあるこの映画は、パティンソンにとって見せどころだらけだ。
「ロブには独特のタフさがある。それは彼の目に見てとれる。彼は『THE BATMAN―ザ・バットマン―』(22年)でスーパーヒーロー役をこなしたが、あの演技はエネルギーにあふれていた一方、臆病さ、不安といった弱い部分も感じさせた。その組み合わせがミッキーには求められていたんだ」と、ポン監督はこの重要な役をパティンソンにオファーした理由を語る。