ポン監督との仕事は「夢のような環境だった」
一方、パティンソンにとっては、憧れのフィルムメーカーと組める夢のようなチャンスだった。
「『殺人の追憶』(03年)を観たのはもうずいぶん前だけれど、以来、あの映画はずっと心に残ってきた。とりわけ、役者たちの演技のすばらしさがね。優れた演技が出てくる映画を観ると、僕はいつもその監督と仕事をしたいと思うんだ。その人に監督してもらったら、自分もあんな高いレベルの演技をやってみせられるのではないかと期待してしまうんだよね(笑)」(パティンソン)
ポン監督との仕事は期待していた通りすばらしかったと、パティンソン、アッキーは口をそろえる。
「彼の現場には、楽しさがあったの。それは必ずしも当たり前のことではないのよ。大きな予算の作品だと特に、やらなければいけないことがたくさんあって、プレッシャーも大きいから。彼のクルーはみんな、自分の仕事が大切だと感じて、常に満足していた。撮影時間は長かったけれど、みんなが本当に現場にいたいと思っていた。それは、この映画が語るテーマにつながると思うの。チームのどこに属する人も、自分には価値があると感じられないといけないのよ。彼が意図的にそういう雰囲気を作っているのか、自然にそうできる人なのかはわからないけれど、とにかく夢のような仕事環境だったわ」(アッキー)
テクノロジーの進化と人間の未来を語るストーリーは、現代の観客に多少なりとも恐怖を感じさせる。一昨年のハリウッドのストライキでも、AIの使用範囲は大きな争点のひとつだった。だが、ポン監督もパティンソンも、不必要には恐れていない。