異動する先の話です。地裁と家裁では仕事の内容が大きく違います。地裁であれば民事か刑事かの事件をやりますが、家裁になると家事事件か少年事件をやるわけです。だいぶ仕事の内容が違いますね。法廷というと地裁のイメージが強いです。家裁でも法廷を開く場合はあるけれどもそれは少なくて、実際法廷傍聴に行こうというと地裁へ行きます。仕事の内容もイメージもだいぶ違います。地裁への希望の裁判官が多いだろうと思います。家裁の裁判官は希望が通らなかったのでやってきたという場合が少なくないのではないかと思います。

移動先は本庁から小さい町の支部まで

異動先が本庁か支部かというのはかなりの違いがあります。日本の地方裁判所は、北海道には4つあります。札幌のほか、函館、旭川、釧路にあります。あとは、都府県に1個ずつあります。県庁所在地に本庁があります。支部というのは、県庁所在地以外の都市に置かれることになります。支部は1カ所と限らず、複数置かれることもあります。かなり小さい町に置かれる支部は裁判官も少ないです。

ときには裁判官が常駐しない支部というのもあります。そういうときは、裁判をやる日だけ裁判官が出張してきてやります。事件数が少ないとそういう支部もあります。令和5年度の裁判所の種類と数を図表1にまとめておきます。地裁の本庁50と支部203だけは念頭に置いてください。

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たとえば、岩手県の地裁について見ると、盛岡本庁のほかに、花巻、二戸(にのへ)、遠野、宮古、一関(いちのせき)、水沢の各支部があります。裁判官の転勤先の候補地の概略をつかむための参考にしてください。家裁には出張所があるほか、地裁と家裁は同じ数あります。置かれる場所も同じです。

民事をやりたくても刑事のポストばかりのことも

地方裁判所に異動する場合を考えると、仕事内容が民事なのか刑事なのかというのは大きな関心事です。配属先が民事部になるか刑事部になるかというのと同じ意味です。民事だとお金のことその他雑多な財産関係の裁判をやりますが、刑事となると被告人が有罪か無罪かを決めたうえ、有罪であれば刑を決めるという仕事になります。