パチは自転車やタンスに貼ったりして遊ぶ
田嶋 あとはコストをどこまでかけないで、似たものを作れるか。ビックリマンの印刷はすごく高コストなはずなので。だからパチシールは節約のためにコーティングもされていないものが多いです。そのためシールがダメージを受けやすいので、パチは残りづらいんです。
鍋島 貼っちゃったりされる率も高いですよね。
田嶋 大事にされない。
鍋島 本家シールは使うのもったいないから大事にとっておく。パチは自転車やタンスに貼ったりして遊ぶと。
マニアで囁かれている「パチシールが生まれた理由」
田嶋 当時のシール職人さんは、「すごく手間のかかることを安くやらされた」とおっしゃってましたね。
鍋島 ビックリマンシールに使われたシルク印刷は、最初は白、じゃあ青、次は赤……って色ごとに色を落として、最後に黒で締めて、輪郭を付けて行いますからね。いわゆる浮世絵みたいなものです。メーカーさんはそのしわよせもあったから、腹いせに「
田嶋 当時の職人さんがおっしゃっていたのは、「この印刷を当時の予算と時間でやれと言われたのは、死ぬほどキツかった」と。
――そう考えるとチョコとシールがついて30円ってすごく安かったんですね。
田嶋 異次元の安さです。いま作っても、数百円の販売価格になるのが普通です。いまの100円でさえも安いと思います。それは当時の「量の力」だったのかなと。
パチシールには、まだ未知の世界が広がっている
――最後にパチシールの魅力とはなんだと思いますか?
鍋島 解明されていないのが魅力ですよね。パチシールは“埋まらないパーツ”が圧倒的に多いんですよ。並べたときに、「あ、ここありそうだけど無いな、全容はどうなってるんだろう」って。
田嶋 「きっとまだ何かあるんだろうな」という部分がある。あとパチシールコレクターの方は、ニセモノであるからこそ愛せるというユニークな感性を持っていると思います。多様を愛するというか、それはある意味で「寛容」ということなのかもしれませんね。