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1枚30万円も! ニセビックリマンシールの世界「あのロッチは今!?」

1枚30万円も! ニセビックリマンシールの世界「あのロッチは今!?」

カプセルの中に入っていた懐かしい「罠」の世界

2018/08/05

genre : エンタメ, 商品

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パチは自転車やタンスに貼ったりして遊ぶ

田嶋 あとはコストをどこまでかけないで、似たものを作れるか。ビックリマンの印刷はすごく高コストなはずなので。だからパチシールは節約のためにコーティングもされていないものが多いです。そのためシールがダメージを受けやすいので、パチは残りづらいんです。

鍋島 貼っちゃったりされる率も高いですよね。

田嶋 大事にされない。

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鍋島 本家シールは使うのもったいないから大事にとっておく。パチは自転車やタンスに貼ったりして遊ぶと。

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マニアで囁かれている「パチシールが生まれた理由」

田嶋 当時のシール職人さんは、「すごく手間のかかることを安くやらされた」とおっしゃってましたね。

鍋島 ビックリマンシールに使われたシルク印刷は、最初は白、じゃあ青、次は赤……って色ごとに色を落として、最後に黒で締めて、輪郭を付けて行いますからね。いわゆる浮世絵みたいなものです。メーカーさんはそのしわよせもあったから、腹いせに「コストカットさせられた部分を取り戻そう」とやったのでは……と、マニアの間ではささやかれています。真相はわかりませんけどね。

田嶋 当時の職人さんがおっしゃっていたのは、「この印刷を当時の予算と時間でやれと言われたのは、死ぬほどキツかった」と。

――そう考えるとチョコとシールがついて30円ってすごく安かったんですね。

田嶋 異次元の安さです。いま作っても、数百円の販売価格になるのが普通です。いまの100円でさえも安いと思います。それは当時の「量の力」だったのかなと。

パチシールには、まだ未知の世界が広がっている

――最後にパチシールの魅力とはなんだと思いますか?

鍋島 解明されていないのが魅力ですよね。パチシールは“埋まらないパーツ”が圧倒的に多いんですよ。並べたときに、「あ、ここありそうだけど無いな、全容はどうなってるんだろう」って。

田嶋 「きっとまだ何かあるんだろうな」という部分がある。あとパチシールコレクターの方は、ニセモノであるからこそ愛せるというユニークな感性を持っていると思います。多様を愛するというか、それはある意味で「寛容」ということなのかもしれませんね。

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