池上彰さんの連載「WEB 悪魔の辞典」では、政治や時事問題に関する用語を池上さん流の鋭い風刺を交えて解説します!
【善戦・ぜんせん】
結局は負けたのだが、自らを慰めるために使う言葉。
【池上さんの解説】
2018年9月に実施された自民党総裁選挙で負けた石破茂元幹事長の戦いぶりについて、「善戦」と報道したメディアがある一方で、麻生太郎副総理は「どこが善戦なんだ」と否定しました。
麻生さんに言わせると、2012年の総裁選挙のときに比べて国会議員票が減ったのだから善戦ではない、ということのようです。
一方、石破さんは、「党員の45%が私に入れている」と言って、「善戦」を強調しました。
こうやって見ると、「善戦」というのは実に主観的な表現であることがわかります。要は負けたのですが、負けず嫌いなのですね。「完全に負けたのではないぞ、次の可能性を残したぞ」と言いたいのでしょう。
自民党内では、石破さんの獲得票が事前の予測よりは多い、というのが「善戦」の評価になっているようです。「善戦」というのは、絶対評価ではなく、相対評価であることがわかります。
本当に次を狙っているのなら「善戦」と言われて喜んでいてはいけないのですね。
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