政権が何を考えているか、読売を読めばわかる
ああ、読売が書いたことは現実になるのである。読者の命は縮まらないが、他社の記者は命が100日縮む思いであろう。外国人労働者と消費税の「スクープ」。
政権が何を考えているか、読売を読めばわかる。新聞が時の権力に近くていいのか? 官報みたいでいいのか? という議論は当然あろう。一方で政権の動向を知るには便利。
さて、その外国人労働者=入管難民法の改正案が閣議決定されたのは11月2日だった。翌日の各紙の論評は読みごたえがあったが、ここでも存在感を発揮していたのが読売新聞だ。
まず今回の制度が論議される前に基本的な疑問があった。
“技能実習制度が検証もされていないのに、なぜまた新しい制度が?”
“そもそも今回の案は「いつ」「誰が」言いだした?”
である。
「移民法」についての答えは読売が書いていた
ところが、この日の読売にはその「答え」がきちんと載っていた。
「深刻な人手不足に対応 参院選対策の思惑も」(11月3日)
抜粋してみよう。
《受け入れ推進にかじを切ったのは、首相の右腕でもある菅官房長官だった。介護現場の人手不足を周辺から聞かされ、昨秋から水面下で政策課題として検討を始めた。2020年夏の東京五輪・パラリンピックに向け、建設業界などで人手不足が顕著なことも、理由の一つだった。》
《関係省庁は当初、治安悪化や日本人の雇用への影響を懸念して及び腰だったが、菅氏が押し切ったという。これを受け、今年2月の経済財政諮問会議で首相が具体的な検討を指示。6月の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に、外国人労働者の受け入れ拡大が盛り込まれた。》
これを読むと「いつ→昨秋から今年の2月」「誰が→菅官房長官」だったことがわかる。わかりやすい。閣議決定したので正解を教えてあげるね、という行間すら感じた記事だった。