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「もう一緒に野球ができないんだ…」西武・増田達至が内海哲也の引退試合で見せた“涙の理由”

文春野球コラム クライマックスシリーズ2022

2022/10/12
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最年長投手としての「覚悟」

 内海から学んだことは多い。「最後、中継ぎで1軍にいらっしゃったとき『もうちょっとこうしたらいいんじゃない?』などと、アドバイスをしていただいたり」

 それ以上に練習への姿勢は見習うべきだと感じた。

「見ていて、ほんとに毎日変わらなく、意識高く練習している姿が忘れられない。これから自分が年齢を重ねたときに、後輩たちにそう思われたいなと、これまで以上に感じましたね」

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 そんなことを思っていると、十亀も引退することになり、来季からは自身が投手陣最年長になる。来年4月23日で、35歳だ。

「まさか来シーズン、一番上になるとは……」。まだ完全には実感できていないが、覚悟は決まりつつある。

「これまでは、先輩方がやってるから自分はまだ若いっていうか。それ以上にやらないといけないというモチベーションにもなっていました。そういう面では、自分が一番上でサボっていると言ったらおかしいですけど、そういうのは見せないようにね。今までの先輩方の姿を見ていたから、そう思いますよね」

“西武一筋”の増田だから伝えられること

 今季の最終成績は、52試合で2勝5敗31セーブ、防御率2.45。5敗のうち、4敗は8月以降に集中した。

 コロナ以降は不本意な成績だったかもしれないが、離脱前は防御率1.09。2軍落ちした昨季からの復活を印象づけるものだった。

 入団から10年目で500試合登板、150セーブを達成。「体は元気なので、あとは成績さえ良ければ、もっと投げられる」という手応えもある。

 毎年、シーズン前は「今季はどんな風に始まり、終わるのかな」という不安がある。

 その不安に打ち勝つために、今季一筋の光が見えた「投手王国復活」を完遂させるために――。次なる戦いが、早くも秋季練習から始まる。

 海の向こうに羽ばたき、最後は西武に戻ってきた松坂大輔とは違う。巨人のエースとして輝き、西武に移籍後も大きな影響を与えた内海とも違う。

 2人ほどの知名度はなくとも、増田は中継ぎ、抑えとして西武一筋。500試合以上、チームのために腕を振り続けてきた。

 酸いも甘いも知る新たな「最年長右腕」が見せる背中にも、後輩たちが学ぶことは山のように詰まっている。

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