
手練れの業界ウォッチャーが、新聞報道にもの申す!
★単色のミスター
某紙の特派員OBに聞いたことがある。彼我の新聞で一番の差を痛感するのは、故人を悼む評伝という。
欧米の場合、功と罪を等しく記しつつ、知られざる横顔の紹介に筆を費やす。それが日本だと、書き手の思い入れが先に立ち、ベタベタした礼賛を連発する。しかも世間が既読済みの人物論しか登場しない。
6月3日に死去した長嶋茂雄氏の場合もそう。朝日の4日付の「天声人語」でさえ、右にならえの筆だ。
出だしは「『巨人ぎらい』の話は聞いても、『長嶋ぎらい』の人にお目にかかったことはない」という断定文で始まる。体験に基づく卓見かと思いきや、長嶋氏が現役を引退する日の朝の天声人語から引いたと明かす。続く筆も「半世紀が過ぎても、印象は変わらない」という追認どまり。胸を借りるなら、もう少し大先輩を脅かす打席を見たかった。
デビュー戦の4打席連続三振に触れているだけに惜しい。金田正一投手にフルスイングで挑んだ若武者ぶりが鮮烈な印象を残したというのに。
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