阿刀田高氏(作家)
浅田次郎さん、本当におめでとうございます。心からお喜びを申しあげます。
浅田さんはいい人です。わがことのように確かなうれしさを覚えています。
なぜそんなにうれしいのか。やっぱり“良質なエンターテインメントの書き手が日本に実在していること”“津々浦々に伏在している多くの読者に日ごとの楽しみを届けていること”、このすばらしさです。これが高く評価されたことです。長年それを願って来た者としてわがことのように胸が熱くなるのです。
そして、もう1つ、どう説明したらよいのか……どなたにも経験があるでしょう。毎日の生活の中で、わけもなく、ふと、
――なんか、うれしいことあったな――
と感じ、なにがうれしいのか、あらためて考えて“ラグビーが頑張ったんだ”とか“日本人にまた1人ノーベル賞が出たんだ”とか、他人事なのにほほえましい。あれですね。
浅田さんには最初の直木賞選考でネガティブな評価をしたり、日本ペンクラブの活動では厄介な仕事を押しつけたり、その他もろもろ、少し借りがあるような気がしていました。今度の受賞でそれが返済されるわけではないけれど、とにかく急に思い出し、ホッとして、ふとうれしいのです。
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source : 文藝春秋 2019年12月号