いまでも覚えている一言

関谷 亜矢子 アナウンサー
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1988年に日本テレビに入社し、スポーツ番組の司会などを務めた関谷亜矢子氏(61)が、取材の中で出会った長嶋茂雄について語る。

 長嶋茂雄さんは誰よりも長嶋ファンだったと思います。それは、自分をどうかっこよく見せればファンが喜ぶのかを常に意識されていたからです。

 私が仕事で初めて出会ったのは、日本テレビに入社して3年目の1990年に『独占SPORTS情報』という番組の司会を担当していた時のこと。一期目の監督時代の後の頃で、ゲストで来ていただきました。長嶋さんはとにかく一緒に仕事をしている人たちを喜ばせたい。私に冗談を言ったら、私が笑うだけでは飽き足らず、周りのディレクターやカメラマンの反応まで確認して、みんなが笑っている姿を見て、喜んでいらっしゃいました。

関谷亜矢子氏 Ⓒ文藝春秋

 1992年、監督に復帰されると、今度はグラウンドで取材する関係が始まりました。当時はまだまだ女性アナウンサーがスポーツを担当することが珍しかったころです。

 たとえば、アナウンサーの試験ではナレーションやニュースなどいろんな原稿を読み上げるのですが、私が受験した当時でも、スポーツニュースの原稿になると「女の人は要らないから」と飛ばされるような時代。グラウンドも男の場所という感覚が強かった。なので、ちょっと戦々恐々で不安を抱いて取材に行っていました。

 そんな私に長嶋さんは「ああ、関谷さん」って笑顔で挨拶してくださる。それで「今日はなにしに来たんですか?」と、とても丁寧に優しく尋ねてくださるんです。もちろん取材しにきたので、緊張して「しゅ、取材です」なんて答えていました。毎回、同じように迎えてくださって本当にホッとしましたね。それは、他の女性のアナウンサーも同じだったと思います。

 私が結婚するとき、監督はオレンジと黒のサイン入りチームジャンパーとビデオメッセージをくださいました。

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source : 文藝春秋 2025年8月号

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