作家の両親は何回も通帳を見返した
松田崇弥 初めて楠木さんにお会いしたのは2021年のことでした。ヘラルボニーの代表を共に務めている双子の兄・文登と参加したビジネスピッチ(起業家が投資家に事業計画を伝える短いプレゼン)のコンテストのとき、審査員をされていましたよね。

楠木 時間が限られていたこともあり、実はその時の僕は「知的障害がある方のアート作品を売る社会起業家ですか。立派な人たちですね」と感じただけで、そこまで注目していたわけではありませんでした。
崇弥 そうだったんですか!
楠木 印象が変わったのは翌年、崇弥さんと文登さんがお書きになった『異彩を、放て。』(新潮社)という本を読んで、ヘラルボニーの本質を理解できてからのことです。
従来の福祉は、障害がある方が収入を得るためには、就労支援施設を用意し、そこでの活動で、安いけれど一定の賃金を得られるようにしよう、という考えに基づいて成立している。しかしヘラルボニーは、株式会社による商売で収益を獲得し、その利益を、契約している障害のある方にも大きく配分する仕組みです。
松田文登 そうですね。私たちのビジネスは、端的に言うと、「異彩を放つ作家」と呼んでいる、障害のある作家のアート作品のIP(知的財産)事業です。
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