食糧支援打ち切りの日は近づいている
2024年6月、長年つきあいのある国際NGO団体のプラン・インターナショナルの日本人スタッフに、バングラデシュにある、世界最大規模といわれるロヒンギャ難民キャンプを案内してもらった。
ミャンマーのラカイン州に住んでいた少数民族である彼らは、2017年の8月、ミャンマー国軍と警察による大規模無差別攻撃を受け、いのちからがらバングラデシュに避難してきた人たちだ。去年の時点で、ロヒンギャ難民キャンプには100万人が住んでいるといわれていたが、キャンプで生まれる子どもも多い。また、今なおラカイン州では内戦が続き、国境を越えて避難する人々があとを絶たず、現在のキャンプ人口は公式な登録者が113万人、未登録者を含めると推定で150万人ほどに膨れ上がっている。

昨年、バングラデシュから帰って1か月後、7月に首都ダッカで学生たちによる大規模デモが行われた。死傷者を多く出したデモは全国へと広がり、8月の政変を引き起こした。1971年にバングラデシュが独立した際、最前線で戦った解放戦士たちの子孫が、優先的に公務員の職を得られるという制度に学生たちが抗議したことがきっかけで、15年にわたって独裁的に政権を握ってきたシェイク・ハシナ氏への反発も相まって、抗議デモは激化し、ついにハシナ氏はインドに逃亡した。
ハシナ政権が倒れたのち、2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が暫定政府の首席顧問となった。
この一連のニュースを、デモの規模の大きさと闘いの激しさに驚きつつ見ていた私は、会ってきたばかりのロヒンギャの人たちの暮らしはどう変わるんだろうと、まず思った。あるいは、広大な難民キャンプの周囲で暮らすバングラデシュ人――ホストコミュニティの人たちの暮らしは。
さいわいなことに、今年もまた、プランの日本人スタッフとともに、キャンプにいけることになった。政変によって何が変わったのか、あるいは変わらないのか。それを知りたいと思った。
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