（右から）
DMG森精機代表取締役社長　森雅彦
日本銀行政策委員会審議委員　田村直樹
京都大学医学部附属病院病院長　髙折晃史
フォートレス・インベストメント・グループ日本代表　山下明男
理化学研究所理事・東京大学教授　川﨑雅司

　東大寺学園は、世界遺産・東大寺を母体とする私立男子校。制服や校則がなく、生徒の自主性を重んじる自由な校風が特徴である。そんな環境の中で、私たちはそれぞれの個性や興味を伸ばしながら、今につながる多様な経験を積んだ。

　田村はフォークソングが好きで、友人と「風邪」というグループを組み文化祭で演奏。三井住友銀行の専務を経て、現在は金融政策を考える一方で、当時から憧れの伊勢正三さんと日銀の広報誌で夢の対談を実現した。

　髙折は学級委員長を務めた。実家は開業医で医師を志し京大医学部へ。アメリカ留学で研究に目覚め、血液内科学教授となる。現在は京都大学医学部附属病院長としてポストコロナの運営に奮闘。

　山下は春日山や東大寺境内の大自然の中で野球を満喫し、自由な校風が今日の人間形成の基礎となる。理論経済学を志し、外資系金融の道へ。現在はグローバルファンドの日本代表として不動産を中心とした事業再生を牽引する。

　川﨑は軟式野球部に所属し、休み時間には狭い校庭でタッチフットを楽しむ。バレーのネットに引っかかり転倒、脳震盪をきっかけに人が入れ替わったように成績が向上し、東大に進学。科学の道へ進み、紫綬褒章などを受章して活躍中だ。

　私は、在学中、山登りや日本文学全集に熱中した。大学では写真部や英国一人旅など多様な経験を積み、卒業後は商社で営業を学んだ。家業に戻ってからも現場主義と挑戦心を大切にしている。

　同窓生と語り合えることは、人生の大きな財産である。これからもこの縁を大切にしていきたい。（森）

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