仲代達矢、海老沢勝二、藤原作弥、池広一夫、ジェームズ・D・ワトソン

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偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム

★仲代達矢

 俳優の仲代達矢(なかだいたつや、本名・元久)は気迫のこもった演技でファンを魅了し、後進を育てることにも情熱を注いだ。

仲代達矢 Ⓒ文藝春秋

 1980(昭和55)年公開の黒澤明監督『影武者』は、若山富三郎が信玄を、その影武者を勝新太郎が演じる予定だった。しかし若山が出演を断り、勝が二役を引き受けたがリハーサルに来なかった。黒澤は仲代に代役を頼み、仲代は勝に了承を得ようとするが勝は逃げ回る。

 撮影中にも仲代は黒澤が描いていたイメージを演技力で自分に合わせる苦闘を強いられた。しかし、その結果、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを獲得する作品となる。

 32年、東京の目黒五本木に生まれた。ボンヤリしていたのでモヤと呼ばれるようになる。父はバスの運転手をしていたが、仲代が8歳のとき結核で亡くなった。母は法律事務所の留守番をやりながら子供たちを育てる。

 都立千歳高校(現・芦花高校)の定時制に入ってからは、冶金工場などで働き、映画や演劇を見に行くのが好きになった。52年、思い切って俳優座養成所の試験を受けたところ、応募者600人の中の36人の合格者に入った。「目をギョロつかせ陰気」なのが注目されたという。同期に佐藤慶や宇津井健、2期上に妻となる宮崎恭子がいた。

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source : 文藝春秋 2026年1月号

genre : ニュース 社会