偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム
★橋幸夫
歌手の橋幸夫(はしゆきお、本名・幸男)は、10代でデビューしてたちまち大スターとなるが、多くの波乱が待っていた。

1960(昭和35)年、『潮来笠』が大ヒットして人気者になる。2年後に吉永小百合との『いつでも夢を』が日本レコード大賞を受賞。19歳だった。「最初は歌も好きでなかったので、本当の自分なのか居心地が悪かった」。
43年、東京都荒川区に生まれる。当時の家業は呉服店。9人きょうだいの末っ子で、中学2年の頃はボクシングなど格闘技に夢中だった。母親が「悪い仲間に入らないように」と、作曲家・遠藤実に無理やり弟子入りさせる。
橋の才能を見抜いた遠藤は、コロムビアからデビューさせようと考えたが、橋はオーディションで落第。そこで遠藤は先輩格でビクターの作曲家・吉田正の元に連れていく。吉田は初対面で橋を気に入り、何曲か用意し最終的に決めたのが『潮来笠』だった。
66年に『霧氷』が2度目のレコード大賞を受賞して、この前後が歌手としての絶頂期となった。すぐ後を追いかけるように舟木一夫と西郷輝彦が登場してきたので、3人は「御三家」と呼ばれ、テレビの歌謡曲ブームを支えた。71年に日本航空乗務員の凡子と結婚。同年に劇画『子連れ狼』のイメージソングを歌って長く親しまれた。
82年、佐川急便の会長(当時)・佐川清は、レコード会社「リバスター音楽産業株式会社」を設立、84年に橋を歌手兼代表取締役副社長にする。橋もやる気十分だったが業績は思わしくなかった。92(平成4)年、政界汚職事件の東京佐川急便事件が発覚すると週刊誌が疑惑を書き立てる。橋は事件に無関係と主張し翌年リバスターが解散したのでビクターに戻った。
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