千玄室、釜本邦茂、上條恒彦、絹谷幸二、ジェームズ・ラヴェル

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偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム

★千玄室

 裏千家大宗匠の千玄室(せんげんしつ、本名・千政興)は戦後の茶道界をリードし、世界に向けて「茶の湯外交」を展開した。

千玄室 ©文藝春秋

 2002(平成14)年、長男に宗匠の千宗室を譲り翌年から千玄室を名乗る。以降も特攻隊に志願しながら生き残った忸怩たる思いを語り、「お茶には世界を和やかにする精神がある」と述べてお茶を通じての平和を訴えた。

 1923(大正12)年、京都市に生まれる。祖父は十三代千宗室で、父もやがて十四代千宗室となった。「家元を継ぐ者として、それはもう厳しく鍛えられました」。

 小学校時代には府立第一中学校を目指したが、ある日、父に同志社中学校に進むように命じられる。同志社は創立者・新島襄の妻八重が裏千家に入門したこともあり縁が深かった。同志社大学予科では馬術部で活躍。学部時代には海洋飛行団の水上機訓練に参加し、学徒出陣の際には海軍に行くことになる。

 43(昭和18)年、舞鶴海兵団に入団して土浦海軍航空隊に配属されたが、ここで出会ったのが後に俳優になる西村晃だった。一緒に特別攻撃隊に志願し、西村が「茶を点ててくれ」というので何人かで野点を催した。ところが、千は理由が不明のまま特攻隊から外されてしまう。再会するのは戦後になってからで、双方とも相手は戦死したとばかり思っていた。

 戦後、大学に復学し、49年に大徳寺で禅の修行に入る。51年からはアメリカを視察して回った。「今まで続く私の茶の湯外交の始まりでした」。55年に吉川英治夫妻の媒酌のもと塚本登三子と結婚。登三子はフランス語に堪能で、特に欧州での活動に貢献してくれた。茶の湯外交で訪れた国は70以上、海外での茶道教育にも熱心だった。

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source : 文藝春秋 2025年10月号

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