さいたまに、夢のチームを

巻頭随筆

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 横浜から、埼玉へ。

 プロ野球から、プロバスケットボールへ。

 この3月、私はBリーグ3部埼玉ブロンコスの株式の大半を取得し、オーナーシップを獲得しました。横浜DeNAベイスターズの初代社長を2016年まで5年務めて経営黒字化を達成した後、次の道を探す浪人生活を送っていましたが、3年ほど経って、ようやく新たな挑戦のステージに辿り着きました。

 埼玉ブロンコスの活動は所沢市とさいたま市が中心で、私は1年前から一般社団法人さいたまスポーツコミッションの会長に就任し、スポーツによる地域活性化の戦略を模索してきました。

 さいたま市には3万、4万人収容のさいたまスーパーアリーナがありますが、地域活性化の武器として必要なのは5000人から1万人規模の地域密着型の施設です。そういった次世代型スポーツ施設=アリーナの整備実現を公約に掲げる清水勇人さいたま市長を支えながら、私はアリーナの目玉コンテンツを獲得する。その2つが両輪となることで市民に愛されるスポーツコンテンツと文化が生まれ、健全経営で回していければ、私が得意技をフルに使ってベイスターズで実現させた熱狂をさいたまでも作ることができる……。

 そこでしばらくはコンテンツとしての新チーム創設を検討していましたが、ある日、ブロンコスの前オーナーから経営再建を頼まれたのです。

 実際チームの数字はとても厳しく、今季も赤字が見込まれ、いつチームが消滅してもおかしくない経営状況です。

 ところが私はこのチームに一つの大きな道筋を見ることができました。今はどん底でもやれることは沢山ある。次世代型アリーナさえできればさいたまスポーツコミッションを含めて成功のためのリソースは十分にあり、浦和レッドダイヤモンズや埼玉西武ライオンズと切磋琢磨できる、県民に愛されるスポーツコンテンツへと再生しうる環境と機会があると思えました。

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source : 文藝春秋 2020年5月号

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