貴乃花が受け継いだ「一子相伝の秘技」とは
貴乃花光司――。
昭和の終わりに角界の門を叩くと、平成4年(1992)に初優勝。平成6年には22歳で横綱に昇進し、その後、平成15年の引退までに22回の幕内最高優勝を達成。誰もが認める「平成の大横綱」は、今年9月、日本相撲協会に引退届を提出した。貴乃花は、半生を捧げてきた「平成の大相撲」をどう総括するのか。
――貴乃花さんが相撲の世界に身を投じたのは1988年2月。15歳の時でした。父である先代・貴ノ花(大関)が果たせなかった夢、すなわち横綱になることが目的だったと言われています。
貴乃花 そうですね。目的はそれしかなかったと言っていいと思います。父の無念を晴らしたい一心でやってきました。
ですから先代は私にとって分け身なのです。2人でひとつの体。現役時代は父とともに相撲をとっていたと思っています。
――先代との思い出は?
貴乃花 先代は東京にいる時は、ほとんど出かけませんでした。私が中学生になるくらいまでは、お風呂も一緒に入っていました。お風呂で先代は足の先から頭のてっぺんまで全身を洗ってくれるんです。
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source : 文藝春秋 2019年1月号