国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。
【ほ】「ホワットアバウト」のうまい日本語訳はある?
ネット上の議論で、よく「お前が言うな」という返しが使われます。略して「おまいう」。Aさんに遅刻を批判されたBさんが「君だって忘れ物をするじゃないか」と話をすり替える論法です。
これと似ていて、ちょっと違う英語にwhataboutism(ホワットアバウティズム)というのがあります。批判された人が“What about...?”(じゃあ〇〇はどうなんだ?)と言い返す論法。「君だって忘れ物をする」だけでなく、「Cさんだってよくドタキャンするよ」と、第三者を持ち出す場合も含まれます。「おまいう」より応用範囲が広いのです。
Bさんから「君だって」「Cさんだって」と言い返されたAさんは、一瞬ひるむかもしれません。でも、Bさんを対象とした議論では、AさんやCさんは関係がありません。Aさんとしては、「よし分かった、私やCさんのことは次に議論しよう」と言って、議論をBさんのことに戻すのが理に適っています。
こんなとき、whataboutismに相当するうまい日本語があれば便利です。「ホワットアバウティズムはやめよう」では長すぎる。何と言えばいいか。
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source : 文藝春秋 2021年4月号